イヌの虫歯予防!正しいデンタルケアで愛犬の健康を守る

犬の歯ブラシ

愛犬のデンタルケアはつい後回しにしがちではないでしょうか?
無添加でおいしいおやつ、手作りご飯など、愛犬が喜びそうなことにばかり目がいってしまう飼い主さんは多いはず。
しかし、愛犬のために飼い主さんがやるべきことにはそれ以上に力を入れるべきです。
この記事ではそんな愛犬のデンタルケアについて解説していきます。
正しく進めればそれほど難しいことではありません。
これを機にしっかりと取り組んでみましょう。

犬の口内トラブル

犬の歯ブラシ

イヌの虫歯

イヌは虫歯にはならないという話はよく聞きますが、実際はイヌも虫歯になります。ただ歯周病の犬が圧倒的に多いため、あまり話題にはなりません。たしかにイヌの口内に虫歯菌は存在しませんが、人間を介して虫歯菌がイヌの口内に入りこむことで虫歯はできてしまいます。虫歯が原因で歯周病になり、最終的には抜歯せざるをえないといった状況になることは意外とよくあります。
よってイヌにも虫歯のリスクがあることを知っておくことは大切なのです。

イヌの歯周病

イヌの口内トラブルで一番よく話題になるのは歯周病です。
人間より歯磨きをするイヌはほとんどいないと思いますが、イヌは人間より歯周病になりやすいです。
それは、イヌの口内は人間(中性~酸性でpH=6.8-7)と違いアルカリ性(pH=8-8.5)で、細菌の集まり(プラーク)が歯石となるスピードが約3日と短いことが理由です。ちなみに人間の場合は約25日で、イヌの8倍ほどです。イヌにとって歯磨きが必須であることはお分かりいただけると思います。
歯石がついた歯の表面は凸凹していますから、そこにまたプラークがついてと悪循環が起こり、それにより歯肉、歯周ポケットと炎症が広がって歯周病になります。
イヌの歯は根本が目の下や鼻の骨に達しているため、歯周病がさらに悪化することで骨が溶けたり、血流にのって全身に運ばれ各臓器に悪影響を及ぼす可能性もあります。
一度歯石になると歯磨きで取り除くことは難しいですから、未然に歯磨きをしてプラークを除去することが必要です。

治療が必要になると

虫歯、もしくは歯周病が進行し治療が必要な状態になってしまった場合、どのような処置がとられるのでしょうか。それぞれみていきましょう。
犬 虫歯

虫歯の場合

虫歯の場合は先ほど触れた通り、ほとんどのケースで抜歯という処置がとられます。
特に虫歯になりやすい上顎第4前臼歯(上の奥から3番目の一番大きな歯)を抜歯する場合、歯を3分割して取り除く必要があるため数時間を要する手術となり、愛犬への負担も大きくなります。もちろん全身麻酔で、費用も病院によりますが10万円前後と高額になります。また、可能性は低いものの手術により顔周りの神経を傷つけて笑えなくなるケースもあります。
高齢犬の場合や健康状態が良くなく麻酔ができない犬の場合は、薬を継続的に飲むことで炎症を抑えることもできますが、それで一時的によくなってもそれは完治であり、根治ではありません。
よって完治と再発の繰り返しとなります。
イヌの場合、抜歯をしても食事をすることにさほどの影響はありません。人間のようによく噛んで食べるといったことはしないからです。しかしやはりすべての歯を維持できることに越したことはありませんよね。どうしても抜歯がためらわれる場合は、最近ではイヌの歯科診療に特化した病院もありますから、そのようなところに一度相談してみるのも1つの手でしょう。

歯周病の場合

歯周病の場合は歯石を取り除く「スケーリング」と呼ばれる処置が多くとられますが、状態が悪ければ抜歯になります。スケーリングは無麻酔で行うこともできますが、見えるところだけきれいにするのでは根本治療にはならず、全身麻酔で歯周ポケット内まできれいにする治療が一般的です。ただし、スケーリング後の歯の表面を滑らかにするといったケアまで行う病院は少なく、またすぐに歯石がついてしまうケースは多いです。スケーリングを定期的に行うことで歯ももろくなってしまいます。結局は治療をしても歯磨きの習慣がないと歯の健康は保てないということですね。
以上のように口内トラブルが悪化した場合、全身麻酔で治療を行うことがほとんどであるため、愛犬への負担も考え日々のケアを大切にしていきましょう。

デンタルケアのすすめ

今日からデンタルケアを始めよう!

愛犬のデンタルケアで一番大事なことは「慣れ」です。焦らず愛犬の口周りを触ってみることから始めましょう。はじめはそれでも嫌がるかもしれませんが、毎日根気よく続けることが大切です。
口周りを触れるようになってきたら今度はマッサージをするように触ってみる、そっと上唇をめくってみる、歯を触ってみるといった感じで段階を踏んで進めていきます。
歯磨きをしようとしてもすぐ諦めてしまう飼い主さんは、はじめからイヌ用の歯ブラシを買って試しがちです。それで愛犬が嫌がるのは当然ですし、それでは飼い主さんも続ける気にはなれませんよね。
はじめは少し触ることができるだけで本当に歯磨きができるようになるのかと焦ってしまうかもしれません。しかし、挑戦して諦めてを繰り返すよりも少しずつ少しずつ慣らしていくほうが、長期的にみれば効率的なのです。
また、子犬のうちから慣らしておくべきだったと後悔している方もいるかもしれませんが、いつ始めても遅くはありません。今からでも始めるか始めないかで、今後の愛犬の歯の健康が左右されます。

具体的な方法

犬 歯
愛犬が口周りを触られることに慣れてきたら、いよいよ歯を磨いてみましょう。
始めは軍手を水で濡らして歯をこすってみるのがおすすめです。実際、これでも十分歯をきれいにすることができますが、歯に少し問題がある場合は犬用の歯磨きジェルをつけたり歯磨きシートを使うことでプラスのケアを行うことも可能です。
しかし、理想の歯磨きはやはり人間と同じように歯ブラシで歯を磨けるようになることです。難易度は上がりますが、歯を1本1本、そして歯の間までしっかり磨くためには歯ブラシが一番良い方法になります。歯ブラシの場合もいきなり磨こうとせず、徐々に慣れさせていきましょう。
また、歯磨きをするタイミングですが、犬の場合は食後すぐが理想です。食後に歯磨きを行うことでプラークを95%以上除去することが可能です。ご飯のあとは歯磨きといった流れができると良いですね。
他に注意する点としては、興奮気味の状態では無理に歯磨きをしようとせず、落ち着いているときに短時間で済ますということです。嫌がる場合は無理をせず、気長に挑戦していきましょう。慣れるまでは朝は上の歯、夜は下の歯といった感じで行うのもいいですね。大事なのは毎日少しずつでも継続して挑戦することです。

歯磨きガムの効果

歯ブラシを使ったケアには敵いませんが、歯磨きガムでもある程度のプラーク除去が可能です。歯磨きができないときにはガムを与えるなどして対応することもできますね。ただし人間同様ガムだけで100%ケアをすることはできないので注意してください。また、歯周病の犬はガムを噛むのを痛がる場合があり、飼い主さんが様子を見ておく必要があります。
さらに、イヌの歯は人間よりもエナメル質が薄いため硬すぎるものは与えないようにしましょう。イヌの歯は意外ともろく、欠けたり折れたりして神経が露出してしまう可能性があります。家庭用のはさみで切れるか切れないかが硬さを判断する1つの基準になります。また、一気食いや丸飲みをしないように見ておくことも大切です。

まとめ

イヌにとって歯磨きは人間と同じくらい、もしくはそれ以上に大切です。
愛犬が嫌がるからと歯磨きを避けていても、最終的にはその愛犬に大きな負担をかけてしまうことになります。
歯磨きは口内トラブルを防ぐために行いますが、もしすでに歯周病になっていたり虫歯になって治療が必要であっても、治療後の歯の健康を守るためには練習してできるようにする必要があります。
はじめから完璧にできる必要はありません。今日から焦らず少しずつ、理想の歯磨きを目指していきましょう。

(参考文献)
・ocean’s dog dental clinic ホームページ「犬の歯のケア」
・peppyホームページ記事(イヌの歯磨きは完璧でなくてOK!嫌がるわんちゃんの歯磨き法)
・peppy2020春夏号
・ペット栄養学会誌「犬の歯周病原菌数と歯肉の炎症の経時的変化について」2015年18巻Suppl号
・日本獣医師会雑誌「高齢犬の重度歯周病に対する治療ならびに歯周病関連細菌の分離」2004年57巻1号41-45

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